「夜のピクニック」や「蜜蜂と遠雷」などの作品で有名な作家の恩田陸さん。様々なジャンルの小説を確かな筆力で書き上げています。
恩田陸さんの作品は共通して人物の心情描写が素晴らしく、心の移り変わりやそれぞれの思いを丁寧に描いています。
恩田陸のおすすめ作品を紹介!
このページではそんな恩田陸さんのオススメ作品を紹介していきます。
これから恩田作品に挑戦してみようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
1.夜のピクニック
恩田陸といえばこの作品でしょう。
主人公の通う高校の恒例行事である1年に1度夜を徹して歩き続ける歩行祭。そんな歩行祭での物語。
社会人になってしまった私にはもう2度と訪れないであろう青春を懐かしみました。まあこんな経験はしたことないのですが。
主人公や周囲の高校生たちの思考を見事に表現しています。調べてみると実際に似たような行事が行われている学校もあるようです。こんなイベントがあったら忘れられない思い出になるでしょうね。
文体も全体的に軽やかで、そこそこのボリュームがありながらサクサクと読み進めることができます。
2.木洩れ日に泳ぐ魚
2人の男女がアパートの一室で最後の一晩を過ごす。重苦しく、互いの心中を探り合いながらの駆け引きから思いもよらない真実が見えてきます。
これはミステリーなのかなんなのか。最初は状況が飲み込めなかったのですが、段々と設定が理解できていくうちに。作品に没頭してしまいました。
緊迫感のある心理戦の先にわかる真相とはなんなのか。ぜひ読んで確認してもらいたいです。
この話はどのようにしてエンディングを迎えるのか。こんなにも先が気になってしょうがなくなる小説も珍しいです。
一度手にとってしまうと一気読み必至です。
3.ドミノ
コメディチックでエンタメ感満載の群像劇。とても楽しく読むことが出来ました。
たくさんの登場人物が次々と登場し、物語もテンポよく進んでいきます。キャラクターが多くシーンもどんどん変わっていくのですが、設定がしっかりとしているので読んでいてもストレスは感じなかったです。
まさにタイトルの「ドミノ」のように人々が連なり重なり合っていくような作品。広げた風呂敷を最後にはキチッと纏め上げる文章力、構成力は流石の一言。
ドタバタ劇が好きな人におすすめです。
4.蜜蜂と遠雷
直木賞と2017年の本屋大賞をW受賞した作品。
ピアノコンクールを舞台にした天才達の物語です。
小説を読んでいるはずなのに音楽を聴いているような感覚を味わうことが出来る貴重な作品。まるで紙から音が鳴っているかのようです。
臨場感と緊迫感がひしひしと伝わってくる表現力に心を持っていかれました。長編で読み応えがあるのですが、終わりが近づいてくるにつれ、まだこの本を読んでいたいと思わされてしまいます。
才能と才能のぶつかり合い。熱量たっぷりの読んで絶対に後悔しない作品です。クラシックを普段全く聴かない、ピアノに縁もゆかりもない私でも大満足で楽しめました。
5.チョコレートコスモス
才能ある女優達の舞台オーディションの話。
次はどんな舞台が出てくるのかなとワクワク、ドキドキしながら読みました。あとがきにも出てきますが、本作はガラスの仮面のオマージュとのことです。
この本を読んだ影響で芝居や演劇にどんどん興味が湧いてきました。恩田陸さんは天才や才能の凄さと異質さを描写するのが本当に上手いです。
6.六番目の小夜子
恩田陸のデビュー作。不思議な伝説が残る高校が舞台です。「サヨコ」という伝説が残り行事としても存在している学校という設定。
ミステリアスな転校生「津村沙世子」の登場により物語の進行が加速していきます。ホラーやミステリーというジャンルにカテゴライズされるのでしょうが、爽やかも感じさせる不思議で奇妙な作品です。
恩田陸にしか書くことのできない独特の世界観がたまらない一冊となっています。ラストでは少し引っかかるところも感じながら、そこがまたリアルだとも思います。 人によっては少しモヤモヤ感が残ることも否めません。設定や登場人物の個性が際立っていてミステリーというよりも人間ドラマや雰囲気を楽しむ作品だと思います。
7.ネバーランド
男子校の寮を舞台にした4人の少年の物語。ピュアで尖っている魅力的なキャラクターの高校生が登場するのが見どころです。それぞれ心に深く重いものを抱えている少年たちがぶつかり合いながら繋がっていくところに青春を感じました。爽やかさとドロドロとしたものがバランスよく絡み合っている一冊。
8.ライオンハート
時代を超えた恋愛を描くロマンチックなラブストーリー。運命に引き裂かれ、引き寄せられる2人の愛は幸せなのか不幸せなのか私にはわかりません。絵画が絡めてあるところもまた素敵です。儚くて美しく、そして切ない純愛に心打たれます。 図書室の海 「夜のピクニック」など他作品のスピンオフが掲載されている短編集。不思議な後味の作品が詰まっています。物語に引き込んでおいて急に突き放されるような感覚。ノスタルジーが詰まった一冊。本が好きな人は気にいること間違い無しの短編集となっています。
9.光の帝国
不思議な能力を持った「常野」という一族をめぐる物語が集まっている短編集。ファンタジーでありながら確かなリアリティが存在しています。読者側の想像力を働かせる設定とストーリーの展開が素晴らしく、読んでいるうちにグイグイとのめり込んでいきました。自然と優しい気持ちになれる名作です。
10.三月は深き紅の淵を
不思議な世界観で構築されている1冊の本をめぐるミステリー。本、読書を愛してやまな い著者の気持ちが具現化されてそのまま一冊の本になったかのよう。物語の中に迷い込 んでグルグルとまわり続けているような感覚に陥ってしまう危うさも持ち合わせていま す。本が好きな人はもれなく楽しめると思います。